遺産分割協議書とは?書く必要がある項目や提出を求められる手続き

遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合った遺産分割の内容をまとめた書面のことです。これは相続人全員がその遺産分割に合意したという証明になるため、相続手続きをするにあたって必要なものとなっています。この記事では、そのような遺産分割協議書について詳しく解説します。記載する必要がある項目、提出を求められる手続き、作成する必要がないケースについても確認しましょう。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で話し合った内容をまとめた書面のことです。遺産分割協議書に話し合いの結果を記載し、相続人全員が署名・押印をした書面であるため、分割内容を明確にすることができたり、将来的な相続トラブルを防止できたりするといった効果があります。

遺産分割協議書の形式や書式などは特に決まっていませんが、一般的にはA4サイズの用紙に横書きで記載することが多いです。また、手書きで作成する必要がないため、パソコンの文書作成ソフトを使っても問題ありません。ただし、相続人の名前・住所などは自筆のほうが望ましいでしょう。

遺産分割協議書に書く必要がある主な項目

遺産分割協議書には、最低限、以下の項目を設ける必要があるでしょう。

・表題(タイトル)

・前文

・被相続人の表示

・遺産分割の内容

・後文

・遺産分割協議書の作成日

・相続人全員の住所、署名、押印

なお、遺産分割協議書の記載例は「法務局のウェブサイト」や「国税庁のウェブサイト」などでも確認することが可能です。これらの記載例を参考に遺産分割協議書を作成するとよいでしょう。

遺産分割協議書の提出が必要になる手続き

遺産分割協議書は、一般的に以下の手続きをする際に提出を求められます。

1.預金の払い戻し

2.不動産の相続登記

3.自動車の名義変更

4.株式の名義変更

5.相続税の申告

ここでは、遺産分割協議書の提出が必要になる相続の手続きについて説明します。

1.預金の払い戻し

被相続人の預金の払い戻しをする際には、金融機関から遺産分割協議書の提出を求められます。被相続人の口座は、死亡後に凍結されるのが一般的です。その口座の凍結を解除し、預金を引き出すためには、遺産分割協議書のような相続が完了したことを証明する書類が必要になるのです。

2.不動産の相続登記

被相続人が土地・建物などを有しており、その不動産を相続した人は法務局で相続登記(不動産の名義変更)を行う必要があります。相続登記の際も遺産分割協議書の提出が必要になります。登記申請書などと一緒に遺産分割協議書のコピーを綴じて、管轄の法務局に提出しましょう。なお、相続登記は2024年4月1日より義務化されたため、忘れずに手続きをしてください。

3.自動車の名義変更

被相続人の自動車(普通車)を相続した場合は、その普通車の名義変更が必要になります。普通車の名義変更は運輸支局で行い、申請書などと一緒に遺産分割協議書を提出します。なお、普通車の価格が100万円以下の場合は、「遺産分割協議成立申立書」で代用できる場合があります。また、軽自動車の場合は、遺産分割協議書がなくても名義変更が可能です。

4.株式などの名義変更

上場株式や投資信託を相続した場合は、その金融商品に関する名義変更が必要になります。上場株式や有価証券などの名義変更は、被相続人が契約していた証券会社に対して遺産分割協議書などを提出して行います。なお、非上場株式を相続した場合は、その会社に必要な手続きを確認しましょう。

5.相続税の申告

相続税を課されたり、特定の控除制度を利用したりする場合は、相続税の申告手続きを行う必要があります。その際、相続税の申告書に加えて、遺産分割協議書の写しなどの提出を求められます。なお、相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。

遺産分割協議書を作成する必要がない2つのケース

遺産分割協議書は、遺産分割協議を行った場合に作成する必要があります。言い換えると、遺産分割協議が不要なケースでは、遺産分割協議書を作成する必要がないのです。ここでは、遺産分割協議書を作成する必要がない2つのケースについて説明します。

1.遺言書がある場合

被相続人が遺言書を残していた場合、その遺言書で相続手続きを行うことが可能です。実際、前述した「遺産分割協議書の提出が必要になる手続き」の多くで、遺産分割協議書または遺言書のいずれかを提出するよう説明がされています。ただし、遺言書にない財産が見つかったり、遺言書が無効だったりした場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があるでしょう。

2.相続人がひとりの場合

相続人がひとりだけの場合は、その相続人が全ての財産を相続するため、そもそも遺産分割協議をする必要がありません。相続人がひとりのケースには、元々ひとりだけしかいない場合もあれば、相続放棄などによりひとりになる場合もあります。ただし、相続人がひとりの場合でも、遺産分割協議書を作成しておくほうがスムーズに手続きが進むことが多いでしょう。

遺産分割協議書の作成は弁護士に任せられる

遺産分割協議書は、遺産分割協議をした際に作る書面のことです。一般的に遺言書がなく、相続人が複数人いる場合には、遺産分割協議書を作成する必要があります。預金の払い戻し、不動産の相続登記、相続税の申告などで必要になるため、早めに話し合いをして遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書は、インターネットなどで記載例を見つけられるため自力で作ることができます。しかし、不備の少ない遺産分割協議書を作成したいなら、弁護士に依頼するのもおすすめです。大野法律事務所では相続問題が得意な弁護士が対応しますので、遺産分割協議の段階からご相談ください。

※電話相談、オンライン相談も可能です(日時のご予約が必要です。)お気軽にお問い合わせください。