相続のスケジュール早わかり!相続発生から申告まで全手順を一覧で解説!
相続の手続きは種類が多く、期限が設けられているものもあるため、スケジュール的にあまり余裕がありません。
そのため、全体のスケジュールをしっかりと把握し、「いつまでに何をすべきか」という計画を立てて取り組むことが重要になります。
この記事を参考に計画的に相続の手続きを進めましょう。
相続発生から相続税申告までの全体スケジュール
相続発生から相続税申告までのスケジュールを表にまとめました。以下の表を見て、これから何をすべきか、忘れている手続きがないかなどを確認してください。
目安 | 手続き |
---|---|
相続開始直後 | 死亡届の提出
死体火葬許可申請書の提出 葬儀 |
相続開始から14日以内 | 各種保険の資格喪失届の提出
年金の受給権者死亡届の提出 世帯主変更届の提出 |
相続開始から3か月以内 | 遺言書の確認と検認
相続人の調査 相続財産の調査 相続放棄の申述 |
相続開始から4か月以内 | 準確定申告 |
相続開始から10か月以内 | 相続人全員で遺産分割協議
相続登記や名義変更 相続税の申告・納付 |
家族が亡くなった直後のスケジュール
ご家族が亡くなった直後は、主に役所での手続きや葬儀社とのやり取りが必要になります。
- 死亡届の提出
- 死体火葬許可申請書の提出
- 葬儀
- 遺品整理 など
まずは役所に死亡届や死体火葬許可書を提出し、葬儀社を手配して葬儀を行う必要があります。
葬儀が終わり落ち着いたら、故人の遺品を整理し、必要に応じて運転免許証やパスポートの返納、公共料金の停止・名義変更、携帯電話の解約といった手続きを行いましょう。
相続開始から14日以内のスケジュール
相続開始から10~14日以内には、以下のような手続きが必要になります。
- 各種保険の資格喪失届の提出
- 年金の受給権者死亡届の提出
- 世帯主変更届の提出 など
相続開始から14日以内に、健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険に関する資格喪失手続きが必要になります。
また、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に資格喪失手続きを行わなければなりません。そのほか、世帯主の変更届も14日以内に提出する決まりとなっています。
相続開始から3か月以内のスケジュール
相続人は、被相続人の財産を相続することもできますし、財産や借金を一切引き継がない相続放棄という手続きもできます。
この相続放棄は、原則として相続の開始を知ったときから3か月以内に行わなければなりません。そこで相続開始から3か月以内には、以下のような対応が必要になります。
- 遺言書の確認と検認
- 相続人の調査
- 相続財産の調査
- 相続放棄の申述
ここでは、相続開始から3か月以内のスケジュールについて確認しましょう。
1.遺言書の確認と検認
遺言書には、主に以下の3種類があります。
遺言の種類 | 特徴 | 保管場所 | 検認の要否 |
---|---|---|---|
自筆証書遺言 | 被相続人自身が作成した遺言書 | 自宅 法務局 など |
必要 (法務局で保管している場合は不要) |
公正証書遺言 | 公証人によって作成された遺言書 | 公証役場 | 不要 |
秘密証書遺言 | 遺言の内容を秘密にできる遺言書 | 自宅 など | 必要 |
まずはこのような遺言書が残っていないか確認しましょう。自筆証書遺言や秘密証書遺言を自宅などで見つけた場合は、家庭裁判所で遺言書の検認という手続きが必要になります。
一方、公正証書遺言が残っていた場合や、自筆証書遺言が法務局で保管されていた場合は、検認の必要はありません。
なお、遺言書の確認・検認に法律上の期限はありません。しかし、遺言書の確認・検認が遅れると、その後の手続きにも影響が出て、相続税の申告・納付に間に合わなくなるリスクが発生します。遺言書の確認・検認を含め、相続の手続きはできる限り早く行いましょう。
2.相続人の調査
遺言書が残っていない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合は、相続人全員で話し合って遺産分割を行うことになります。そのために相続人を調査し、確定させる必要があります。
調査では被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て取得し、親族関係を把握するということを行います。
3.相続財産の調査
遺言書が残ってない場合は、相続財産の調査も必要になります。調査では現金・預貯金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、借金や債務といったマイナスの財産も確認します。
これらを全て確認できたら、被相続人の財産・負債をまとめた財産目録という資料を作成します。
4.相続放棄の申述
相続放棄とは、被相続人の財産・負債の一切を引き継がない手続きのことです。相続放棄をする場合は、家庭裁判所にて相続放棄の申述を行います。家庭裁判所に対して照会書の回答をし、相続放棄申述受理通知書を受け取ったら完了となります。
借金が多い場合などは、相続放棄を検討しましょう。
3か月過ぎてしまった場合は当事務所へ
相続放棄は、原則として相続の開始を知ったときから3か月以内に行う必要があります。しかし、相続人が「相続財産が全くない」と信じていた場合など、一定の事由があれば相続の開始を知ったときから3か月を過ぎていても相続放棄が認められる可能性はあります。
当事務所では、このような難易度が高い相続放棄の申述もサポートさせていただきます。弁護士が裁判所に対して理由を丁寧に説明しますので、相続放棄が認められる可能性が高まります。相続放棄のことでお困りでしたら、まずは当事務所までご相談ください。
相続開始から4か月以内のスケジュール
被相続人に以下のような収入がある場合は、準確定申告が必要になる可能性が高いです。
- 自営業をしており事業所得がある場合
- アパート経営をしており不動産所得がある場合
準確定申告とは、被相続人が亡くなった年の所得・所得税額を確定させる手続きのことです。この準確定申告は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。準確定申告書などの必要書類を作成し、期限内に税務署へ資料を提出しましょう。
相続開始から10か月以内のスケジュール
被相続人の財産を相続する場合、相続開始から10か月以内に相続税の手続きをしなければなりません。
相続税の申告までの流れは遺言書の有無で異なり、遺言書がない場合は以下のようになります。
- 相続人全員で遺産分割協議
- 相続登記や名義変更
- 相続税の申告・納付
ここでは、相続開始から10か月以内のスケジュールについて確認しましょう。
1.相続人全員で遺産分割協議
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは「誰がどの財産を相続するか」について話し合う手続きのことです。
話し合いがまとまれば、遺産分割協議書という資料を作成します。一方、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをします。
2.相続登記や名義変更
遺言書の検認や遺産分割協議書を作成したら、預貯金の解約払戻しや不動産の相続登記などを行います。特に、納税資金が足りない場合は、早めに済ませることをおすすめします。
なお、不動産の相続登記は、2024年4月1日より3年以内に行わなければならなくなったので注意してください。
3.相続税の申告・納付
被相続人の財産の総額が「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」を超える場合、相続人は相続割合に応じた相続税を納付する必要があります。
相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。早めに申告書などを準備し、税務署に提出しましょう。
全体のスケジュールを把握し計画的に相続の手続きを進めよう
相続の手続きは、亡くなった直後、14日以内、3か月以内、4か月以内、10か月以内と段階を分けると進めやすくなります。また「いつまでに何をすべきか」という計画を立てるのもおすすめです。もし仕事や家事などで時間的な余裕がない場合は、弁護士などの専門家に依頼するのも良いでしょう。
大野法律事務所では、相続問題が得意な弁護士が相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議など、相続手続き全般についてサポートさせていただきます。また、借金を相続したくない場合の相続放棄のサポートも可能です。相続のことでお困りでしたら当事務所にご相談ください。