相続人調査とは?被相続人の出生から死亡までの戸籍の集め方を解説

被相続人が亡くなり、相続が始まったら、まず相続人の調査が必要になります。相続人調査とは、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本などを集めて、相続人を確定させる手続きのことです。この記事では、その相続人調査について詳しく説明します。戸籍謄本の集め方や相続人調査を自力で行うデメリットなども確認しましょう。

相続人調査とは?

相続人調査とは、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍を全て確認し、その相続における相続人を確定させる手続きのことです。被相続人に配偶者と子どもがいる場合は、その配偶者と子どもが相続人になるでしょう。しかし、子どもがいない場合や亡くなっている場合は、別の人が相続人となります。このようなこともありえるため、相続人調査を行い、相続人を確定させる必要があるのです。

相続人調査を行う主な目的

相続人調査は、以下のような目的から行う必要があります。

  1. 相続人を確定させるため
  2. 遺産分割協議を成立させるため
  3. 相続手続きで提出する戸籍謄本を集めるため

ここでは、相続人調査を行う目的について説明します。

1.相続人を確定させるため

通常、亡くなった被相続人に家庭があり、配偶者と子どもがいる場合は、その人たちが相続人になります(民法第889条)。しかし、被相続人に離婚歴がある場合は、元配偶者との間に子どもがいるかもしれません。また、再婚しており連れ子と養子縁組をしている場合は、その連れ子も相続人に含まれます。相続人調査を行うことで、このような相続人を正確に把握できるようになります。

2.遺産分割協議を成立させるため

遺産分割協議を行う場合、その協議には相続人全員が参加しなければなりません。相続人全員が参加していない場合、その遺産分割協議は無効となり、やり直す必要があります。遺産分割協議を無効にさせないためにも、事前の相続人調査は欠かせないでしょう。

3.相続手続きで提出する戸籍謄本を集めるため

預貯金の払戻し、不動産の相続登記、相続税の申告などを行う際には、被相続人の戸籍謄本を提出するよう求められます。戸籍謄本が全て集まっていない場合、これらの手続きを進められません。相続手続きを円滑に進めるためにも、事前の相続人調査(戸籍謄本の収集)は欠かせないでしょう。

相続人調査の具体的なやり方

相続人調査は、一般的に以下のような流れで行います。

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得する
  2. 相続人となる人の全員分の戸籍謄本を取得する
  3. 相続関係説明図(相続関係相関図)を作成する

ここでは、相続人調査の具体的なやり方について説明します。

1.被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得する

相続人調査をする際は、まず被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を集める必要があります。戸籍には、以下のような種類があります。

  • 戸籍謄本:現在の情報が記載されている戸籍情報のこと
  • 除籍謄本:転籍や死亡などにより戸籍の中の人が全員いなくなった戸籍情報のこと
  • 改製原戸籍謄本:法務省令改正前に作られた現在よりも古い 様式の戸籍情報のこと

まずは、被相続人の本籍地のある市区町村役場に戸籍謄本を請求します。そして、取り寄せた戸籍謄本で以前の本籍地を把握し、その本籍地のある役場に改めて戸籍謄本を請求します。こうして戸籍謄本の取得と確認を繰り返し、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本を集めます。

2.相続人となる人の全員分の戸籍謄本を取得する

被相続人の戸籍謄本を集めたら、相続人となる人の戸籍謄本を取得しましょう。相続人が配偶者と子どもの場合は、被相続人の戸籍謄本を見ればわかります。しかし、その後の相続手続きでも現在の戸籍謄本の提出を求められるので、早い段階で集めておくことをおすすめします。

一方、被相続人の子どもが先に亡くなっている場合は、その子どもの子ども(被相続人の孫)の有無を確認するために、子どもの出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本が必要になります。また、仮に後順位の直系尊属が相続人になった場合は、その人の現在の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。

3.相続関係説明図(相続関係相関図)を作成する

被相続人と相続人の戸籍謄本を集め終わったら、相続関係説明図(相続関係相関図)を作成することをおすすめします。相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係を家系図としてまとめ、そこに住所や生年月日などの情報を記載した資料のことです。必ずしも提出を求められるわけではありませんが、事前に作成しておくことで、その後の相続手続きを円滑に進められるでしょう。

法定相続情報証明制度を利用するのもおすすめ

相続手続きをする際に、戸籍謄本の束を持参・提出するのは大きな負担となるでしょう。そこでおすすめなのが、法定相続情報証明制度を利用することです。法務局に戸籍謄本や法定相続情報一覧図などを提出することで、登記官が証明した法定相続情報一覧図の写しを発行してもらえます。これの写しがあれば、戸籍謄本の束を持参・提出しなくても、相続手続きを進めることができます。

相続人調査を自力で行う場合のデメリット

相続人調査を自力で行う際は、以下のデメリットに注意すべきでしょう。

  1. 戸籍を集めるのに多くの時間がかかる
  2. 戸籍の読み間違いなどのリスクがある

ここでは、相続人調査を自力で行うデメリットについて説明します。

1.戸籍を集めるのに多くの時間がかかる

相続人調査は、意外に時間がかかるので注意が必要です。相続人が配偶者と子どもだけのケースであれば、数週間で戸籍を集められる可能性が高いです。しかし、被相続人に結婚、離婚、転籍などが多い場合や、相続人が亡くなっている場合は、収集すべき戸籍謄本は増えます。その結果、相続人調査だけで数か月かかってしまう可能性があります。

2.戸籍の読み間違いなどのリスクがある

戸籍謄本を読み解くのは難しく、抜け漏れが生じるリスクがあります。抜け漏れが生じた場合、遺産分割協議のやり直しが必要になったり、思うように相続手続きが進まなかったりする可能性があるでしょう。自力で相続人調査をする際は、戸籍の読み間違いや抜け漏れに注意をしてください。

相続人調査は相続問題が弁護士に依頼するのもおすすめ

相続人調査とは被相続人の戸籍謄本を集め、その相続における相続人を確定させる手続きです。この相続人調査が不十分な場合、遺産分割協議が無効になったり、相続手続きに時間がかかったりする可能性があります。そのため、相続をするにあたってしっかりと相続人調査をする必要があります。

しかし、相続人調査には時間がかかることが多く、読み間違いが生じるリスクがあります。そこでできる限り迅速かつ正確に相続人調査を行うために、相続問題が得意な弁護士に調査を依頼するのがおすすめです。大野法律事務所でも相続人調査にご対応できますので、お気軽にご相談ください。

※電話相談、オンライン相談も可能です(日時のご予約が必要です。)お気軽にお問い合わせください。