相続財産が不明である場合において遺留分侵害額の請求を行った事例
亡くなられた方 | 叔父 |
---|---|
相続人 | 甥 |
相続(遺産) | 不動産 |
ご依頼の背景
依頼者である次女の父親が死亡し、長女から父親が作成した公正証書遺言が到着した。その内容は「全ての財産を長女に相続させる」とのものであった。その後、依頼者が自らの遺留分を請求するため、長女に対し、相続財産の一覧(遺産目録)の開示を求めたが、長女からは一向に相続財産の開示を行ってもらうことができなかった。依頼者が、長女に対し遺産目録の請求を行ってから11か月程度経過したものの、なんら長女から反応がなかったことから当事務所弁護士に依頼することとなった。
依頼人の主張
依頼者としては、長女より相続財産開示を求めたうえ、自らの遺留分4分の1を請求することを希望した。
サポートの流れ
本件では、公正証書遺言が依頼者の手元に到着して、すでに11か月程度経過していたため、すぐに受遺者に対し、遺留分を請求する旨及び相続財産の開示を求める内容証明郵便を郵送し、時効にかからないようにした。その後、受遺者から遺産目録が郵送されてきたが、依頼者が想定していた預貯金額より少なかったことから、弁護士の方で銀行口座の取引明細を取得することとなった。弁護士側では、遺産目録に記載されていた銀行に加え、父親の自宅近くの地方銀行及び信用金庫、メガバンクの取引明細を取得した。その結果、すでに解約済みである父親の信用金庫の口座から長女の銀行口座に数千万円の振込みがあることを確認した。したがって、これら数千万の振込みを特別受益として相続財産に加算し、その金額を含めて遺留分の請求を行った。
結果
交渉の結果、長女の銀行に振込まれたお金も相続財産に含めることとなり、納得のいく金額での遺留分請求を行うことができた。今回の遺留分侵害額請求のポイントとしては、長女が開示した銀行口座だけでなく、父親が保有していたであろう銀行口座を解約されたものも含めて逐一調査し発見した点にあると考える。特に解約された銀行口座については、不審な取引履歴が多く含まれることがあるため、必ず調査すべきであるといえる。