15年間母親の介護をした相続人の寄与分を他の相続人に認めさせた事例
亡くなられた方 | 母親 |
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相続人 | 長男、長女 |
相続(遺産) | 預貯金 |
ご依頼の背景
依頼者の母親が亡くなり、その相続財産である預貯金2,000万円の解約手続きを行うため、依頼者自ら母親の戸籍謄本を取得した。その結果、母親の戸籍謄本から依頼者に兄がいたことが判明し、急遽依頼者と兄との間で遺産分割協議を行う必要が生じた。依頼者としては、当然自身に兄がいたことを知らなかったことから、当事務所の弁護士に遺産分割協議の依頼をするに至った。
依頼人の主張
依頼者は、要介護2の状態にあった母親を15年にわたり介護してきた。そのため、寄与分の主張により、預貯金2,000万円全ての相続を希望した。
サポートの流れ
弁護士から兄に対し、母親の相続が発生した経緯等を説明した手紙を郵送した。その後、2週間程度で兄より連絡があり、弁護士から兄に対し、今後の遺産分割協議の流れ及び寄与分についてご説明し、依頼者が2,000万円全てを相続することの正当性について主張した。一方、兄としては、法定相続分1,000万円の相続を希望するとともに、依頼者が寄与分を主張するのであれば具体的な介護状況等がわかる書面の開示をするよう求められた。したがって、弁護士の方で、依頼者の母親が15年前から要介護2の状態であったことがわかる要介護認定通知書や、週1回訪問していたホームヘルパーが作成した介護記録、医療記録、母親の当時の病状や依頼者がいかなる介護を行っていたかがわかる資料、及び依頼者が介護士の資格を保有していることがわかる資料を添付のうえ、依頼者が2,000万円全てを相続することが正当であることを裏付ける主張書面を作成のうえ、兄に郵送した。
結果
最終的には、母親の預貯金2,000万円のうち、50万円を兄に相続させ、残額1,950万円を依頼者が取得することで遺産分割協議が成立した。今回の遺産分割協議のポイントとしては、依頼者の母親に対する介護が、いかに母親の財産を維持できたかについて客観的な資料を前提に説得的に論じることができた点にある。また、依頼者は介護の資格を保有しており、専門的な介護を行うことができる依頼者が1日中、専業で母親の介護を行ってきたことは必ず主張するべき点であったといえる。